提案説明
松本のり子議員 私は、議員提出第17号議案の提出議員を代表して、神戸市市民参画条例案の提案説明を行います。
今議会では、市長より協働と参画の3条例、すなわち第3号議案「神戸市民の意見提出手続きに関する条例の件」、第4号議案「神戸市民による地域活動の推進に関する条例の件」、第5号議案「神戸市行政評価条例の件」が提案されています。 これらの条例の中味は、多くの問題を含んでいます。 神戸市の条例案では市民の定義に「企業」などが含まれており、市民と、法人・企業を同列に扱うものです。 また、主権者にふさわしい市民の参画が保障されているとは言えません。計画段階で市民が意見を言えるだけで、実施・評価段階においては、市民が参画する権利は全く明記されていません。ですから、今進められている神戸空港などの大型公共事業に対して、市民は意見を言うことはできず、評価にも加わることができません。 そもそも市長は、「市民を街の主役とし、市政への参画を進めていく」と公約し、市民参画局までつくられ、2年あまりかけて準備を進めてこられました。ところが、この条例案は、今指摘したように「市民が主人公」とするには全く不十分な中味となっています。
市政の主役は市民です。地方自治への住民の参画は,まちの活性化と繁栄につながり,市民相互の連帯感をつよめます。自ら住み,働き,学ぶ地域への愛着は人間本来のものであり,市民の持つ知恵と力をまちづくりに発揮させることは,神戸市の現状を打開する鍵を握っています。 1995年1月17日、阪神淡路大震災でたくさんの人々の生活が大きく変わりました。1日も早い生活の復興をめざし、立ち上がる中、個人補償を求める運動、神戸空港中止を求める市民運動が起き、まちづくりのさまざまな取組が生まれ、市民は市政に対して主体的にものを言い、市政を変えたいとの願いを強く持つようになりました。神戸のまちをどう復興させていくのか,これを決める主体は市民であるという思いが成熟していきました。 このような市民運動を尊重し、市民が主体的に市政に関わるとともに,市民参画が保障される神戸のまちの創造を目指して,神戸市市民参画条例案を提案します。
最初に条例案の構成について説明します。 前文に、先ほど申し上げたような、条例の理念について明記しました。 第1条では目的を述べ、第2条では、「市民」の定義を「神戸市に住み,働き,学ぶすべての人」の事とし、国籍は問わないとするなど、用語の定義を行いました。 第3条、4条は、市民の権利・責務についてであり、「市民は,市の計画立案,策定,決定,実施及び評価の各段階に参画する権利を持つこと」などを保障しました。 第5条は「市の責務」で、市が、重要な計画などを決めるとき複数の案を市民に示すこと、市民からの請求があれば情報公開を保障しなくてはならないことを述べています。 第6条で「議会の役割」、第7条で「職員の責務」を明記しました。 第8条・9条・10条で、計画策定・実施・評価の各段階での市民参画を保障しました。 最後に、第11条で、住民投票制度を盛り込み、市が,市の施策について,直接,市民の意思を確認し,判断をあおぐため,住民投票制度を設けることができると明記しました。
以上、条例案全体の構成について申し上げました。
次に、私たちが今回「神戸市市民参画条例案」を提案するにあたり、留意した点について若干述べさせていただきます。
計画策定段階での、市民参画のあり方はどうあるべきなのでしょうか。 計画段階で市民に意見を聞くという市の提案では、これまでもある程度実行されており、中味は何ら変わっていません。たとえば東灘区の「新神戸大プール」跡地利用について、市民は「素案」を決める時点からの参画を望んでいます。しかし、市はこれを受け入れる姿勢は全くありません。これでは真の市民参画とは言えません。神戸市は全ての情報を公開しながら、複数の案を提示し、市民からも具体的な提案が行えるようにするなどのシステムが必要です。 実施段階では、たとえば神戸空港建設の問題があります。70%事業が進捗している現在でも、半数以上の市民から「中止」の声が出されています。このようなとき、市はいったん立ち止まって、市民の声を聞くことが「市民参画」ではないでしょうか。 評価段階では、市長が進めた事業について、市長が指名した委員だけで行うというのでは、公正な評価はできません。市民からの公募制度を取り入れるなど、市民の参加を保障するとともに、その評価を予算編成に生かすなど、市政に反映させなくてはなりません。
次に、市民のもっとも大きな関心事の一つであり、この間幾度となく議会で議論を重ねてきた住民投票制度についてです。 1998年、1999年の2度にわたって、30万人をこえる「神戸空港建設の是非を問う住民投票条例案」制定を求める市民運動がありました。 しかし市長は、「国の動向を見る」として、条例案に「住民投票」を盛り込むことをしませんでした。政令市の広島市をはじめ、7都市で「常設型住民投票制度」を条例に入れています。また、今回の条例案制定にあたって、神戸市が一年かけて行ったワークショップのまとめでは、「住民投票実施を」との声が強く出されています。国の動向よりも、市民の声を聞くべきではないでしょうか。
日本国憲法は、国民主権を重要な柱とするとともに、地方自治を保障しています。地方自治は、国から独立してものごとを決定することができる「団体自治」と、住民の意思によって進められるという「住民自治」を二つの大きな柱としています。「住民自治」の主権者はあくまで住民です。 神戸市において、主権者である市民が主体的に参画することを通じてこそ、真に「住民自治」に基づくまちづくりが実現します。 議員のみなさんのご賛同をお願い申し上げ、私の提案説明とします。
神戸市市民参画条例(案) |