障害者の自立支援法の施行凍結を国に求めよ
段野議員の本会議での質問
私は、日本共産党議員団を代表して、予算第37号議案、平成17年度補正予算の内、障害者自立支援法施行準備事務に関して市長に質疑いたします。本議案は、先の国会で「障害者自立支援法」(以下、支援法)が成立したことから、来年4月の施行に向けて準備するための予算措置であります。 ところで、この「支援法」は、郵政民営化法案を巡る国会解散によって、廃案になったものの、総選挙後再び上程され、十分な論議も尽くされないまま、自民・公明の与党が、強行採決し成立したものであります。障害者や家族の悲鳴が、議場に響きわたる有様はテレビで報道された通りであります。成立したとはいえ、この「支援法」は、障害者・家族への負担内容を示しながら、障害者へのサービスや手続きなど、制度の根幹に関わる問題は、ほとんど政省令事項として残しています。政令委任事項70,省令委任事項130、告示事項12項目など、213項目に上る政省令事項の内容が未定のまま、つまり、障害者支援法と銘打ちながら、支援の具体的中身が確定していない「自立支援法」を、来年4月からの実施に向け準備しようとするものであります。 本議会に、この「支援法」施行にむけての予算措置が提案されたことから、準備作業を進めるに際して、神戸市における障害者の暮らしや、家族の実態を把握することがきわめて重要な課題となります。そのため、この間の国会論議の中で明らかになった様々な問題点を整理し、自治体自らの責任と役割を明確にすべきだと考えるものであります。 国会論戦の中で最大の焦点になったのは、障害者に対する応益(定率)負担の導入、ならびに食費等の自己負担の導入問題であります。これまで障害者施策利用料負担は、前年の所得に応じた「応能負担」によって決定されてきました。これを「支援法」では、サービスの量に応じて負担する「応益負担」に切り替えるとともに、施設等で提供される食費や入所施設の光熱水費、日用品費、個室費を全額自己負担にするとしています。この応益(定率)負担への切り替えは、障害者福祉とは相容れない最悪の負担方式であります。障害が重く、多くのサービスを必要とする人ほど負担額が大きくなる方式は、障害が故の苦しみをさらに増幅させるものとなります。また、今日の社会環境の中で、障害者は、就労の機会が十分に保障されていないことから、それぞれの家庭の所得状況が、サービス利用の可能性を左右することになり、甚だしい不平等をもたらすものとなるのは明白であります。 1)まず、この応益負担問題ですが、自立支援法により、利用したサービスの量や所得に応じた、原則1割の低率負担となり、より多くのサービスが必要な重度障害者になればなるほど大きな負担が強いられることになります。国会論議の中で、政府提出の資料「平均的な障害者利用者負担の例」で試算したところ、ホームヘルプ利用で4倍、通所施設で約19倍という途方もない負担増となることが明らかになっています。低所得者への措置はされているものの、これでは、障害の程度に応じた適切なサービスを、受けたくてもうけられず、必要な治療も受けられないという悲惨な事態となります。こんな法の下で、障害者が人間として、安心して社会生活が送れるでしょうか。この「支援法」施行準備に当たって、「支援法」そのものに、どのような問題意識を持っておられるのか市長の見解を伺います。
2)次に、障害程度認定とサービス内容についての問題であります。「支援法」で準備されている福祉サービスは、介護給付、訓練給付、そして地域生活支援事業に分けられますが、これらの給付を受けるためには、障害程度区分の判定を受けなければなりません。この障害区分は、制度利用の大前提となるものです。また、施行期日は来年4月1日と決まっていますが、制度の詳細はまだ不明確で、給付内容の大部分が政省令で定められることになっているため、障害者や家族、障害者団体などに不安が広がっています。このような状況の中で、何をどのように準備しようとしているのか伺いたいのであります。
3)第3に、障害者の実態把握についてであります。この「支援法」を巡る国会論議の中で、厚生労働委員会の参考人から「知的障害の定義をはっきりさせ、正確な数を把握してほしい」との意見が述べられています。現在、日本の法律では知的障害者の定義がなく、人数も人口の0.36%46万人とされています。これは、「療育手帳」を持つ人を中心に把握した数字であり、先進国における知的障害者は、人口の2%前後という世界の常識からみれば、この数字はきわめて低く、実態をつかんでいるとはいえません。知的障害者だけではなく、身体、精神をあわせた障害者の総数は、約650万人、人口比5%と、05年版障害者白書にあります。これは、アメリカが19%、北欧30%などに比べて低く、この数字も障害者の実態を正確に把握しているとはいえません。ちなみに、日本の障害関連費のGDPに占める割合は、0.66%、ドイツの5分の1、アメリカの2分の1にすぎません。 そこで伺いますが、「支援法」施行準備に当たって、施行期日までに、障害者手帳の有無にかかわらず、生涯種別ごとの障害者数、障害の程度などの実態把握を行っていく必要があると思いますが、今後、神戸市として、どのようにして実態把握されるのか、障害者団体や関係者との連携、協議が必要と考えますがいかがでしょうか。
4)最後に、国への要請と神戸市の独自施策について伺います。本来障害者施策の充実は、憲法25条第2項の規定にもとずき国が責任を持って充実すべきものであります。また、障害者の自立支援は、障害者本人やその家族の責任に求めるのではなく、国や自治体、企業、ならびに地域社会がそれぞれの役割を担うべきものであります。そこで神戸市としての責任を果たすためで市の独自施策を充実すべきであります。3年前まで、神戸市には、重度障害者を対象に独自の年金制度がありました。この制度は、「障害者支援費制度」が出来たことを口実に廃止されました。現在、市の独自施策として、「更正医療」や「育成医療」給付の実施など、数項目の施策が実施されています。「支援費」制度が破綻し、応益負担として障害者への負担が課せられようとしているとき、現在残されている神戸市の独自施策を継続するとともに、新たな施策を検討する必要があると考えますがいかがでしょうか。 以上、簡明なご答弁をお願いして質疑と致します。
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