南原議員の提案説明
第57号議案「原爆症認定裁判の大阪高裁への控訴を取り下げることを求める意見書」(案)
私は、ただいま議題となりました議員提出第57号議案「原爆症認定裁判の大阪高裁への控訴を取り下げることを求める意見書」(案)について提案議員を代表して、提案説明を行います。 この議案は、去る5月12日、大阪地裁が、原爆症認定訴訟において、原告全員の請求を認める判決を言い渡し、これを不服として、厚生労働大臣が、5月23日、控訴したことに対して、控訴を取り下げるよう厚生労働大臣等、関係機関に意見書を提出しようとするものです。 5月12日、原爆症認定を求める集団訴訟の、最初の判決が大阪地裁で言い渡されました。その内容は、原告全員に「国が認定申請を却下したのは不当」とする判断を示したものです。この判決は、全国13地裁の原爆症認定集団訴訟における先駆けとなる判決で、関係者を大いに励ますものとなりました。 そもそも、この訴訟は、被爆者が原爆症認定申請を国に行った際、国が認定を却下したことに対して、全国で一斉に、被爆者が訴訟を起こしたものです。 1945年8月アメリカが広島と長崎に投下した原子爆弾は1瞬にして街を壊滅させ、そのときの放射線、熱線、爆風は、20数万人の命をうばい、生き残った被爆者の多くが、癌をはじめとする、様々な疾病や障害で61年たった今でも、苦しみとの闘いがつづいているのです。被爆者には未だに戦後が来ていないのです。 この被爆者の方々に、国は一応、被爆者としての認定を行い、「被爆者健康手帳」を交付された人が、27万人を超えています。この27万人の方々には、医療費の全額支給と、兵庫県が実施している健康管理手当、月額33900円が支給されています。しかし、原爆症に認定されたら、約19万円の生活保障的要素を加味した手当を国から受けることができるのです。「被爆者健康手帳」の交付を受けた27万人のうち、病気や障害が原爆の放射線によると認定されているのは、わずか0.8%、2000人程度にすぎません。兵庫県下においても、5400人に上る被爆者が暮らしていますが、原爆症認定者はわずか45人にすぎないのです。 「原爆症すなわち、原爆による疾病として認めてほしい」という多くの被爆者の悲痛な願いはこれまで、冷たく却下されてきました。しかも、その却下理由は1人ひとりに示されることもありませんでした。 特に近年の政府は原爆症の認定を、さらに厳しくする新基準を策定し、例えば、爆心地から2キロ以内の被爆者で、9つの特定の疾病に限定してきたことや、爆心地から2キロ以上離れた場所での被爆者や原爆投下後広島や長崎に入られた、入市被爆者は認定外とされるなど、爆風、熱風、放射線の影響が複合して爆心地からの距離だけでははかることのできない原爆被害の実態とは、かけ離れたもので、事実上被爆者を切り捨ててきたのです。 今回の大阪地裁判決は、この新基準の限界や機械的適用を戒めるよう厳しく指摘し、内部被爆の影響や、被爆者の健康状況など総合的判断を求めています。特に、「入市被爆者」「遠距離被爆者」についても、原爆放射線の影響を否定できないとしたことは、今後の認定行政の在り方を示すものとして極めて重要です。 6月7日、神戸新聞が社説で、国の控訴を非難し「高齢の原告にとって、訴訟の負担は肉体的にも経済的にも重い。それでも踏み切るのは、認定基準が被爆者の実態からかけ離れているからだ。国が被爆者の切実な思いを正面から受け止めるなら、基準の見直しが道理でないか。」と述べています。 広島・長崎の被爆から61年、多くの被爆者が亡くなりつつあります。高齢と病に苦しむ被爆者は、まさに、命をかけてこの集団訴訟を闘っているのです。3年前から始まったこの訴訟で、171人のうち26人の方が、判決を待たずに亡くなられています。人道的立場からも一刻も猶予はできないのです。国の控訴には全く道理はありません。控訴をとりさげるよう意見書提出を行いたいと思います。 是非、議員の皆さんのご賛同を心からお願い致しまして、提案説明と致します。 |