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2007年03月20日

枝吉保育所など保育所民営化の中止を

段野議員が本会議で追及

段野議員 私は、日本共産党議員団を代表して、提案されている第37号議案、「神戸市立児童福祉施設等に関する条例の一部を改正する条例の件」に関して市長に質疑いたします。
本条例は、去る2月16日の本会議に上程されていた第26号議案のうち、神戸市立枝吉保育所に関して、神戸地方裁判所が原告の申し立てを全面的に認め、「第一審判決言い渡しまで、本条例の制定をもってする枝吉保育所を平成19年3月31日限り廃止するとの処分をしてはならない」と「仮の差し止め」の決定を下したことから、第26号議案を撤回し、枝吉保育所の廃止期日を「規則で定める日」と書き換えて、本議会に上程したものであります。本議案は、「施行日を規則で定めることとする」としている以外は、仮の差し止め処分を受けた条例案と全く同じ内容のものであり、神戸地裁決定の拘束力に反する、明らかな脱法行為であります。法を遵守すべき自治体が、脱法行為までして保育所の民間移管を強行しようとすることは、保護者や子どもたちなど地域住民をいっそう不安にさせ、新たな混乱をもたらすことになります。どんなに反対の声があっても、裁判所から「仮の差し止め処分」の決定があっても、まず移管ありきで強引にすすめる神戸市の態度は、絶対に市民の共感を得られるものではありません。
 そこで、本議案に関して、数点、市長の見解を伺います。

1)神戸地方裁判所が下した「仮の差し止め」決定にたいする神戸市の対応について

 さる2月27日、神戸地方裁判所は、枝吉保育所の保護者82世帯183名からなる原告団から出されていた訴えを全面的に認め、「神戸市立枝吉保育所を平成19年3月31日限りで廃止する旨の処分をしてはならない」との決定を下しました。この仮の差し止め決定には「その事件について、処分をした行政庁その他の関係行政庁を拘束する」という「拘束力」があることは法律の条文上極めて明白であります。
 したがって神戸市は、差し止め訴訟本案の判決が下るまでの間は、この地裁が下した決定の趣旨に従って行動する義務を負うことになります。具体的には、枝吉保育所を廃止する内容の条例制定に関わるすべての行動を、起こしてはならないのであります。
 神戸地裁は、この「仮の差し止め決定」を下すにあたって、この「保育所廃止処分差し止め請求事件」の問題点を次のように指摘しています。
  1. 3月31日に廃止、4月1日に移管するとした場合、移管前に行われる引継ぎはわずか5日間という極めて短期間となることから、引継ぎが可能だとは考えられないこと

  2. 神戸市の共同保育計画自体が具体性に欠けており、どの程度「実」のある共同保育を実施しようとしているのか、市内部に確固とした決意や計画があるのかすら疑わしいこと

  3. 説明会で多くの保護者から反対を受け、移管先の法人からも見直しを求められ、現在の保育所の保育士からも、1年間の共同保育が望ましいという意見が表明されていること

 従って、このような状況のままで枝吉保育所の民間移管を強行すれば、多大の混乱が起きる蓋然性は極めてたかいという点であります。
 このように、神戸地裁が下した「仮の差し止め」決定は、神戸市が予定している共同保育計画のずさんさを指摘し、その計画のままでは、枝吉保育所の廃止条例制定によって入所している児童たちに「償うことのできない損害を発生させるおそれがあり」、それを避けるため「緊急の必要性がある」として、「仮の差し止め処分」が決定されたものであります。そもそも「差し止め訴訟」は、司法による国民の救済の実効性を高めるために明確化されたものですが、「仮の差し止め」は、差し止めの本案判決を待っていたのでは、国民の側に事後的には償うことができない損害が発生する事態が想定される場合、それを回避するために取られる法的措置であります。そのため「差し止め訴訟」以上の、より厳格な要件のもとに定められた法制度とされています。
 先に述べたように、提案されているこの第37号議案は、施行日だけを「規則で定める日」とする以外、内容は、「仮に差し止められた」条例と全く同じものであり、平成16年6月に行政事件訴訟法の改正によって明確にされた「法の趣旨」に反する脱法行為そのものであります。地裁は、この決定の中で、相手方つまり神戸市が措置することを予定している民間移管の内容や、円滑な移管のために取られる予定の引継や、共同保育等のスケジュールなど、諸般の事情を前提とした上で、本件保育所の廃止が、保育児童や保護者らに与える影響について勘案すべきである、としているように、総合的な考慮に基づいて下された決定であります。
 神戸市は、この神戸地裁の決定そのものを真摯に受け止め、指摘された様々な問題を具体的に解決するよう努めるべきであり、それが市長の責務ではありませんか、いかがでしょうか。

2)保護者との信頼関係と保育環境に関して

 本件裁判には、保護者99世帯のうち82世帯、183名が原告団を構成する;という現状が示しているように、ほとんどの保護者が原告に加わっています。
 先の決算特別委員会での意見陳述でも明らかになりましたが、枝吉保育所は、単に地域における公的施設として存在しているだけではなく、長年、地域の文化や保育環境を育てる役割を担ってきました。その施設が、民間移管されることによって、これまで培ってきた文化や環境が破壊され、ひいては保育を受ける子どもたちに影響を及ぼすのではないかと、心を痛めています。この住民の感情を全く考慮しないばかりか、せめて共同保育の期間は一年間保障してほしいと願う保護者たちの意見すら、聞こうともしないのであれば、神戸市との間に信頼関係ができるはずがありません。また「子育て支援」を政策に掲げるのであれば、子供たちへ配慮や、保護者への気配りは欠かせない条件であります。思いやりのかけらさえ感じられない「子育て支援」など、市民は絶対に信用しません。また、裁判所から「仮の差し止め」決定が出されたにもかかわらず、施行日を定めず提案し、更に、条例が可決されてもいないのに、7月1日から移管と発表するなど、保護者との関係を悪化させるばかりであります。このままでは神戸市との信頼関係は完全に損なわれ、より深刻な事態になるのは目に見えています。「仮の差し止め」決定の中では、「約90名近い人数の児童を一挙に引き継ぐ本件法人が、わずか5日間程度の共同保育およびその他の書面等による引き継ぎにより、個々の児童の個性等を把握し、その生命、身体の安全等に危険が及ぶことのない体制を確立できるとはおよそ考えられない」と述べたうえ、さらに本件においては、単に共同保育の期間が3ヶ月間で十分か否かを論ずるのみでは足りないというべきところ、現時点では、相手方、つまり神戸市には、この視点が全く欠落している。と厳しく指摘されています。市長は、市民との信頼関係が損なわれた現状のまま、保育行政が円滑に進むと考えておられるのかどうか伺いたい。

3)保護者、神戸市、引受先法人の三者協議が不十分なままでも移管を強行するつもりなのか

 先月、2月7日に引受先の「社会福祉法人おおた」が、市長宛に要望書を提出しています。この要望書の中で、法人は次のように神戸市に要望しています。「子どもたちを保育する上で、保護者との信頼関係は切り離すことができません。保護者との感情のもつれは、保育上、または運営上、至る所に支障を来すおそれがあれがあり、法人としては慎重に対処したい」とのべています。今回の枝吉保育所の移管問題では、法人決定以前から、保護者は1年間の引継を要求しており、法人内でも、「引継保育は保育内容を引き継ぐのではなく、子どもたちからの信頼を引き継ぐのであるから、当然、時間が必要であり、子どもたちに心理的負担がかからないように慎重を期すべきである」との基本的態度を表明しています。そして改めて1年間の引継保育と法人、公立の保育士が協力して保育に当たれるようにしてほしいと要望しているのであります。
 これに対して神戸市は、2月20日に法人宛に「要望について」と題する文書を送り、「概ね3ヶ月を目途とした共同保育計画は妥当である」として、この法人からの要望を一蹴しています。神戸市があくまで3か月が妥当とする根拠は、他都市の実施例と昨年移管した保育園の保護者アンケートなどですが、昨年、大問題となった鈴蘭台北町保育所のアンケートは未だに集約されておらず、地域事情の異なる他都市の実例は、保護者や法人を安心させるものとはなりません。現在の状況のままでは、三者が話し合いのテーブルにつくこと自体が困難であります。 神戸市が、自ら決めた方針は一歩も譲らず、規定方針通り移管を強行するつもりなのかどうか伺います。
 以上、市長の明快な答弁を求め私の質疑といたします。

梶本助役 枝吉保育所について、地裁決定を真摯に受けとめるべきだ。規定方針通りにするのかというが、公立保育所の移管の考え方については、従来から答弁している。児童の健全、及び育生を第一に、17年2月に作成した神戸っ子すこやかプラン21に定める施策を、22年度までの目標年次にむけて、着実な推進をはかるっている。公立保育所については、この期間中に20カ所程度を民間移管することにしている。すでに、19年4月と20年4月にも3カ所の移管を予定している。18年度に民間移管した3保育所は、子どもも落ちついた生活を送っている。4月から移管予定の大同保育所と千鳥が丘保育所なども、法人とともに共同保育をしている。枝吉保育所は、18年12月に廃止処分の差し止め訴訟が提起された。移管に関する仮差し止め申し立て事件に対する神戸地裁の決定は、期間と実効性に問題があるとされている。3月31日に廃止してはいけないとされている。即時抗告の期間が7日間しかないということで、大阪高裁に即時抗告をした。市は、今回の神戸地裁決定の内容を真摯に受け止めている。だが、民間への移管日が判然としていないのでは、保護者や保育所現場等の混乱も予想されたので、それらの不安を避けるために、4月1日に移管ではなく、移管前に十分な共同保育をするために、7月1日移管決定を発表した次第だ。保護者にも理解してほしい。

段野議員 質問したことにきちんと答えてください。同じことを言うが、最初に聞いたのは、みなさんが仮の差し止め処分を受けたことに対して、真摯に受け止めてほしい、と言った。3月31日という期日の、仮の差し止め処分云々でなく、本案の判決がでるまでの間、行動してはならない、という拘束力がある。このことは、先程わたしが申し上げた。拘束力について、これが出ても皆さんは、日にちさえ変えればいける、と考えているのか。保健福祉局幹部が「大阪高裁に即時抗告したことで効力が停止されている」と言ったようだが、これは明らかに保護者を混乱させるものだ。事実、即時抗告で、効力は停止されるものではない。この仮差し止め処分が効力を停止する場合、どのような場合か。即時抗告したら停止されるのか、はっきりさせてほしい。総合的判断で差し止めされた。総合的に受け止めて判断するようにいったが、どうなのか。それから、信頼関係だが、いま、助役からの話では、保護者が日にちが決まらなかったら不安だろうから7月にしたと言った。不安なのは、日にちが決まらないからだけという認識か。保護者からも、法人からも枝吉保育所の保育士からの意見は、どう引き継いだらいいか、信頼関係を引き継がないといけないと一貫していっている。みなさんはそうした立場か。たんなる事務引継ぎではない。保護者が、予算特別委員会でも言われたが、保育や文化などを引き継がないといけない。それができるかどうかということを、保護者が心配している。子どもは宝物だ。その子ども達が、償うことのできないような負担を負わないようにする、そうした思いをみなさんがお持ちか。信頼関係を構築するのに何が必要か考えるべきで。即時抗告の内容をみた。助役は、3保育所がうまくいっていると言った。鈴蘭台北町、ここはうまくいっているのか。アンケート自体が、3月1日に保護者に用紙を配布したんでしょうが。中身はまったく明らかにならない。移管から一年を経過した今でも、市の職員が巡回指導しているだけでなく、主任保育士が、主幹が常駐して一年間やっている。このことはうまくいっているのかどうか疑問だ。こうしたことを保護者ときちんと話し合いをしたのか。他都市の例で3カ月で十分だといった。確かに資料では、3カ月のところが多い。しかし、何カ月が良いかどうかではなく、この中で、どのような引継がやれて、何が必要かなど、何の資料も出していない。それで、信頼関係ができると考えているのか。法人が1年と言っているのに、それがだめだとの理由も示さない。決めたことだからといって強引にやっている。これではなにも進まない。心を開いて、法人と保護者と改めて話し合い、どうすればいいか、子どもたちの立場で考えるべきだ。保護者の意見も受けいれて、どういう話し合いをするか。神戸市が一歩も譲らないというのなら、問題にならない。市長から答えていただきたい。

梶本助役 仮差し止めの決定についての指摘だが、私どもとしては地裁の仮の差し止め処分決定は、効力があると認識したので、上程していた条例案を撤回して、変更案を上程した。現場で、担当参事があたかもそうしたことを無視していっているかのようなことだが、そんなことはいっていない。条例案については法規当局、代理人とも相談して、今回の条例案を提案していることをご理解いただきたい。仮差し止めの内容だが、本会議でも答弁したが、仮差し止めの決定の判断は、ひとつは市町村が設置している、当該保育所を廃止することがまったく許されないというものではない。諸事情を総合的に判断した上で、当該保育所をとりまく諸事情を考慮して、民間移管の判断をしている。差し止め内容については、6月30日の共同保育の期間、内容、実効可能性について、問題があると指摘されているので、民間移管そのものの差し止め、を裁判所が指摘しているのではないとご理解いただきたい。鈴北だが、保育については事後フォローしている。枝吉の保護者会との話し合いは、具体的に言うと、17年12月15日に予定保育所の発表以来、保護者説明会をして、趣旨説明をした。それ以後、18年に入っても数回の説明会をした。今年になってからも1月10日に話し合い、保護者説明会や共同保育の説明、法人紹介、3月17日にも開催してきた。残念ながら、このときは、保護者の理解を十分得られず、保護者が出席しなかった。子どもの立場というが、それは考えている、当然だ。先生に言われるまでもない。問題解決のための話し合いは様々に続けている。今後も話し合いの場を設定していく。

段野議員 とにかく、めちゃくちゃなはなしだ。保護者との間でなぜ話が進まないのか。まず、気持ちをまったく理解しない。99世帯の中で82世帯が原告団を構成する。こんな状況が、他にありますか。こんな状況になったのは、皆さんが保護者の気持ちを理解していないからだ。保護者は、1年間の共同保育を求めている。民間移管反対なら、共同保育云々にはならない。信頼関係が、法人との間で引き継がれるようにしてほしいといっている。抗告の中で皆さんがどんな事例を出しているか、1カ月あれば引継ができると、中原保育所の園長が言っている。こういう前提だ。当初計画の、5日間での共同保育だが、最初の3日間で何をするか、顔なじみになる、備品を知る、環境を知る、ということだ。そしてあとの2日間で、保護者と挨拶したり会話したりする。これを2日間でやるという。裁判所ならずとも、無茶なことをいうということになる。誰が中心となって保育に責任を持つのか、重要な問題だ。法人が主体を持ってやるのは、5月からだ。指導、援助とかいっているが、誰が主体となるのか。法人が主体となる。そこが大事な点だ。だから、子どもたちのことを考えたら、話し合う糸口はある。1カ月でやれるんだ、という事例を出すと進まない。鈴北の保育所の例で、アンケートがとれないのは問題ではないと言っている。3月1日にアンケートを配布し、いま、20日だ。100人程度のアンケートなら2日間あればできるはずだ。鈴北の中身は、保育士の思い、保護者の思いなど、枝吉保育所の保護者にはわからない。もっと早くその中身をやらないと話にならない。即時抗告の中で、現職の神戸市立保育士が1年必要だ、と言ってことにも反論している。「同保育士が、共同保育における保育士同士のストレス、ひいては、それが保育環境へもたらす影響を経験したことがないのであり、まさに変化に対する不安のみから来るいけんといわなければならない」といっている。一体、誰がそんな判断をしているのか。保育現場に携わっている保育士が、1年必要だと言っている。法人もそうだ。保護者もそうだ。ひとり神戸市だけが違う。3カ月でいけるという。ここにこだわると話し合いができない。どこが柔軟に対応するのか。子育て支援には、お金を出さないといけない。福祉の金を福祉の金を取って、他の福祉の埋め合わせするのか。先程、予算の組み替え動議も提案したが、今すぐにいらないものはたくさんある。今回提案した中でも戸籍のOA化で7億もの予算だ。2年間で13億だ。今すぐに必要でないお金を使うより、将来を担う子どもたちにこそ、予算をまわすべきだ。責任を持ちなさいよ、市長に答弁をいただきたい。

梶本助役 先程答弁したとおりだが、保育所の19年度の移管のあと、2つの園については、3ヶ月の共同保育を前提に進めていく。すでに保護者、法人と相談して、充実した内容で努力している。鈴北については、事前の共同保育はできなかったが、多数の保育所の人の努力で、現状では支障なく保育をしている。おおむね満足な保育がされている。1年云々の話があった。いろんな意見があるが、先生も専門家ではない。わたしも保育の専門家ではない。1年が絶対ではない。1カ月が絶対ともいっていない。どんな共同保育の期間が必要かというと、長ければ長いほど良いというのもではない。専門家の意見でも、共同保育は、期間が長ければ現場の混乱をもたらすというものも出ているというものだ。かたくなではない。双方の話し合いは必要だが、話し合いにも出ないというのはいかがなものか。

※答弁と再質問は事務局のメモによるものです。

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