第42号議案「神戸市市税事務所設置条例の件」に対する質疑
段野議員が本会議で質問
私は日本共産党議員団を代表して、提案されております第42号議案「神戸市市税事務所設置条例」に関して市長に質疑します。
.はじめに、第42号議案の内容について概括的に述べ質疑に入ります。 本議案は、市税の賦課徴収権限を「区長権限」から「市長権限」に移管するとともに、各区役所の税務組織を主税部の直轄組織として集約しようとするものであります。この条例が可決されますと、区長の権限のもとで、課税から納税、徴収、滞納整理と一元的に管理され、執行されてきた区の税体系は、完全に消滅することになります。この組織変更によって、各区役所には、区長権限の及ばない「市税事務所」が設置されることになりますが、ここでは、「総合窓口」と課税(賦課)業務のみとなり、徴収部門はすべて本庁に集約されることになります。一方、本庁の体制は、新たにおかれる部長級職員(参事)のもとで、督促・電話催告専門係を含む「納税促進課」や、「滞納処分」業務が中心の「収税課」が新設される予定とされています。これによって、「課税」は各区ごと、「納税や徴収」は全市横断的にという税体系に変わることになります。いずれにせよ、区役所内におかれる「市税事務所」も、本庁の徴収部門も責任者は主税部長であり、区役所内に区長権限が及ばない、エアーポケット的組織が作られることになります。
そこで数点、市長に伺います。 1.長年、税行政は、区単位にすべての税部門がワンフロアーに配置され、受付から相談、納付、調査など、一連の流れの中で処理してきたものであります。このシステムから、徴収部門などを切り離し、本庁で集約・処理する方式へと変更することは、単に税の徴収権が、区長から市長に変更されるという問題にとどまらず、税行政の進め方も根本から変わることになります。これだけ大規模な組織変更を行おうとするとき、何がどう変わるのか、まず市民に説明し、合意を求めるべきではないでしょうか、今回の提案は、市民にとってまさに「寝耳に水」であります。そこで伺いますが、市民のくらしに関わる税組織の大規模な組織変更を、市民のコンセンサスも求めないまま、一方的に実施して良いと考えておられるのでしょうか。市長の見解を伺います。
第2に、市民サービスとの関わりで伺います。 国民健康保険料や年金保険料、生活保護給付など、税がベースとなって決定されるものが少なくありません。そのため、区の税務行政は、区のすべての部門に関わる中枢的部門とされ、市民のくらしや営業に深い関わりを持ってきました。昨年、今年と2年にわたって「定率減税の廃止」や、国の税源移譲に伴う「住民税の引き上げ」が行われたことから、大勢の市民が税の窓口に殺到しました。また、税制改悪に連動して跳ね上がった国民健康保険料や介護保険料などについても、それぞれの窓口に市民が押しかけています。昨年は84000人、今年もすでに僅か10日間ほどの間に、52000人以上の住民が窓口に殺到しています。市民はそれぞれの区役所窓口で、負担軽減や改善策を求め、職員は課税や納税の実態を、市税課の資料などを基に調査しながら、市民に対応してきています。この税組織の変更によって、区役所内に「市税事務所」がおかれるとしても、課税管理や、徴収部門が本庁に集約されることから、国保や、生活保護など区の行政の執行に支障を来し、区における市民サービスの後退をもたらすことが懸念されます。税部門における市民サービスは、諸証明の発行や窓口案内だけではありません。 それぞれの税部門で、納税への理解や苦情に対する対応、市民の実情に応じた分納や減免措置の検討など、多岐にわたる市民への対応を通じて、初めて市民の信頼を得ることができます。市民の生活実態を無視して、終日、本庁から電話で納税の催告を繰り返す、およそ優しさやぬくもりとはかけ離れた組織を作ることが、市民サービスといえるのでしょうか、市長の見解を伺います。
第3に、「組織改正案の概要」によれば、この体制変更は、国の三位一体改革に伴う税源移譲に対応するために提案されているもので、「市税収入の安定的確保」と、「今まで以上に適正・公平な税制行政の推進」が目的とされています。従って、この組織再編は、市民の利便性やサービス向上の観点から提案されたものではなく、「市税事務の執行体制の効率化」として設置される新たな体制によって、徹底的な徴収強化を図ることが目的であることは明白であります。先に述べたように、長年、区の税務行政は、それぞれの課税主体に対して、市民からの申請や窓口対応にはじまり、課税から納税、徴収、滞納処理に至る税の一連の流れがシステムとして定着し、対話や調査によって、市民の暮らし、営業の実態を知り、納税に対する市民の理解と協力を求めてきたのであります。区長の徴収権限のもとでは、安定的な税収の確保も困難であり、「適正で公平な行政」も推進できないとの前提に立っての提案は、この税システムを根底から変えようとするものでもあります。提示された改正案だけでは、なぜ区長権限のもとでは「適正・公平な税務行政」ができないのか?「安定的な市税収入の確保」ができないのか、全く明らかにされていません。市民が納得できる説明を求めるものですがいかがでしょうか?市長の見解を求めます。
第4に、主税部の組織体制に関して伺います。 このたびの組織変更によって、区市税事務所に配置される管理職は、従前の75名から39名に、ほぼ半減することになります。しかし、主税部全体の職員数は95名から一挙に621名という巨大な体制にふくれあがります。本庁の管理職職員も従前の21名から51名に、2.5倍になります。これによって、主税部長は、従前からの部署に加えて、9区に配置された「市税事務所」の管理・指導や本庁、集約事務所全体に対する責任が課せられます。ひとりの部長が、区役所3区分に匹敵する621名もの部下を抱え、9区全体の税収状況に目を光らせながら、市全体の特別徴収や普通徴収をすべて把握して指導するという、肥大化した組織体制は、かえって市全体の税体系や組織を混乱させることになるのではないでしょうか、市長の見解を伺います。
5.最後に、「総合窓口」の役割に関して伺います。 9月1日以降、すべての税に関する相談は、各区におかれる「総合窓口」で受け、処理するとされています。しかし、この「総合窓口」の職員は、申請の受付や市税証明の発行が主な仕事であり、ここに配置される職員数も、わずか数名の職員と嘱託とのことであります。現在、兵庫区と東灘区で「総合窓口」がおかれていますが、両区の現状は、同じフロアーにすべての税部門が集中しているため、必要に応じてそれぞれの担当者が応対することができる文字通りの受付窓口であり、課税部門しか残らない「税組織再編」後の「総合窓口」とは似て非なるものであります。この新たな総合窓口の職員には、研修して対応させるといわれていますが、市民税、固定資産税、軽自動車税など、複雑で多岐にわたる業務内容をすべて把握して、間違いなく対応することは不可能です。 しかも徴収にかかる相談は、電話、FAXで、本庁や集約事務所に問い合わせるとなっていますが、電話だけで解決する問題は限られています。時間のかかる問題や、こみ入った相談は、結局、市民が直接本庁に足を運ばなければならなくなります。市長は、区役所に設置されるこの「総合窓口」で、従前と変わらぬ対応ができ、責任を持って市民からの相談の応じきれると考えているのか。市長の見解を伺います。
以上5点について市長の誠意ある答弁を求め質疑といたします。
《答弁要旨》
■副市長(梶本日出夫) 税務組織再編の目的は,国の三位一体の改革に伴う税源移譲が本年度から本格的に実施をされ,市税の賦課徴収に対する重要性が増す中で,市税収入の安定的な確保,今まで以上に適正・公平な税務行政の推進が求められているため。 また,行政経営方針に基づく行財政構造の抜本的改革が必要で,税務組織も効率的な執行体制にしていくことが求められ,税務組織の強化と簡素・効率化を同時に実現するために,税務組織の再編を実施した。
市民のコンセンサスだが,パブリックコメントでは,意見公募手続の対象とはなっておらず,本市の機関の設置等に関するものは意見公募手続にはなじまない。
滞納者に対する対応だが,徴収部門はすべて本庁に集約するが,市税納付また一定の滞納金額以下の分納相談は,従来どおり各市税事務所でも対応するので,市民にご不便をかけることはない。なお,市税は納期内の納付が基本で,滞納者に対する対応は,通常の市民サービスとは少し異なったものだ。
区長権限から市長権限とすることだが,税源移譲への取り組み,今後ますます専門性が求められる税務事務において,より統一的な対応が要請される。他の政令指定都市においても,徴収部門を中心として集約化・一元化の流れがある。
主税部は 600人規模に拡大されることになるが,職員の管理監督はこれまでと同様,担当局部長とともに各所属長──これは各区に市税事務所長が置かれている各所属長が担うことになり,明確な責任体制のもとでの組織運営が行える。
総合窓口だが,東灘区役所と兵庫区役所で既に設置,税務証明の発行業務を中心にしてワンストップサービスを行い好評を得ている。市税事務所に総合窓口を設置,市税の収納あるいは一般的な納税相談などの簡易な業務を行うので,市民税及び固定資産税の課税業務は,引き続き各区の市税事務所で取り扱い,大部分の来庁者は従来どおりの区役所での対応が可能だ。滞納整理のかなめとなります滞納者との納税折衝あるいはまた差し押さえの解除は市税事務所で対応しない。
■段野太一議員 パブコメなじまないというが,区役所で税行政がやられるというのは,区役所の歴史始まって以来だ。(本庁への移転は)市民から見ても非常に大きな転換を,パブコ規定に合うか合わないかの形式的な判断では困る。市民に対して,国の税源移譲で状況が変わってきた,だから神戸市はこうしたいと説明を当然したらいい。それで市民の合意を求めることをしないと,市民は納得しない。労働条件変更だから労働組合との協議だけで済まない。説明責任を果たす努力をしてからでも遅くないのではないか。
市民サービスにかかわってだが,市税業務は保険料全体の基準,生活保護給付を決めるときの基準にもなる。市民が,区役所の税のところへその都度,必要に応じて尋ねていく,そこで相談をしていろいろと結論を出していっている。それが区長権限から外れ,しかも徴収部門が本庁に移ってしまう。あと,電話とファクスで何をするのか。明らかに後退だ。
主税部の体制が大きくなる。621名──従来95名。大きな組織を1人の部長がまとめてやる。区役所3つ分の大きな組織をつくって,これまで9人の区長が状況を把握して全部指導していた。それが一部長が全部に目を光らせないかん。以前,コンパクトタウンとかという話がありました,できるだけ小さくして,しっかりと市民の要求にこたえていくというのが組織体制のあり方の基本だという発想からしますと,全部逆ではないか。
滞納者は市民サービスの概念からちょっと離れるとの説明がありました。市民の暮らしや営業の実態,そこで話し合いをするというのは税行政の基本なんですよ。なぜそういう事態になったのかということを話し合いながら解決をしてきた。それが重要な市民サービスです。滞納した者は,本庁へ足を運んで当たり前やという発想でいいんですか。電話督促係5名が,日がな一日,滞納者に対して朝から晩まで。ういうのが市役所の組織としてふさわしいのかどうか。今は区に配置された徴収の担当者が,滞納に至った経過を1人1人皆把握している。
■副市長(梶本日出夫) 税に関するサービスが大きく後退するというが,形式的に判断をして今回条例の提案をしたわけではない。市民のコンセンサスを得る対象ではない。 市税事務所を各区に置くことによって市民サービスにほとんど何ら変わるところはない。 条例はあくまで賦課徴収について主税部に集約をするということで,それぞれの市税事務所におきまして相談対応は市税事務所で十分可能。 600人を超える大きな組織というが,各区の区長さんがやっておられたそういった部分をいわゆる主税部長以下(区市税事務所長以下)で対応できる。 また滞納者を,全部が全部主税部の新たな組織で受けるわけではなく,昨年の6月の実態では約8万人余りの方が市税の滞納者大半の方が少額滞納で,従来どおり各区の市税事務所の方での対応ができる。
■段野太一議員 課税部門は残るというが,トラブるのは徴収部門が多い。やはり区役所の中でワンストップ,全体がそろって安心した状態でなかったらなかなかできない。 公平性の問題で,一番市民が不公平やと思っているのは,償却資産。規模の大きいものは本庁所管になっています。13企業が本庁で所管されている,残り約1万 5,000くらいがそれぞれの区,これを一本化されて中央区にまとめられるということなる。本庁所管分は書類審査だけということになっているんではないか。その他のすべてのところは現地調査も含めて,それこそ喫茶店なんかでも茶わん1つお皿1枚に至るまで償却資産税の対象になる。そうした問題こそメスを入れるということでなければ,市民は納得できない。
■副市長(梶本日出夫) 今回の再編の目的が理解できないということでございますが,三位一体の改革の中で重要性が増し市税収入の安定確保が目的になっている点についてぜひご理解をいただきたい。 |