お年寄りが安心して長生きを喜び合える医療制度を
大かわら議員が本会議で提案説明
私は、ただいま議題となりました議員提出第21号議案、「後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書」案について提案議員を代表して提案説明を行います。 平成18年6月に成立した医療制度改革関連法により、本年4月から後期高齢者医療制度が実施されることになります。実施が近づくにつれ、各地から怒りの声が次々と上がっており、政府も医療改悪の一部を「凍結する」と言わざるを得ない状況になりました。しかしこれは、対象となっている高齢者の一部の人の負担を、ほんの少し延期するだけで何の解決にもなりません。 新制度が導入されると、75歳以上の人は、今加入している医療保険から、強制的に脱退させられることになり、「後期高齢者だけの医療保険」に組みこまれます。現在、サラリ−マンの「被扶養者」として健康保険に加入している人も、新制度では保険料が徴収されます。75歳以上であればどんな低所得でも「被扶養家族」から切り離されるという差別的な医療制度が許せるでしょうか。 保険料は介護保険料と合わせて年金から天引きされます。しかもその保険料は、2年ごとに改訂され、医療給付費の増加や、後期高齢者の人口増に応じて自動的に引き上げられるという過酷なものです。制度スタ−ト時に保険料が低い人でも、将来、確実に引き上げにつながります。 現行の老人保健制度では、医療を奪われれば直接命にかかわるため、75歳以上の高齢者は保険証の取り上げを禁止されています。ところが「後期高齢者医療制度」になれば、保険料を滞納すると、低年金・無年金者からも容赦なく保険証が取り上げられるのです。 過酷な保険料徴収の一方で、受けられる医療の内容も差別・制限されます。保険が使える医療に上限が設けられることになり、現在でも多くの方が治療を受けている、高血圧や糖尿病、高脂血症などでも、必要な検査や処置が十分できなくなります。例えば、糖尿病は人によってさまざまです。何度も検査をしながらコントロ−ルしていかなければならない人もいれば、定期的な検査だけで十分な人もいます。それを一律に上限を決めれば、その人に最も適した検査や治療・処置が行えなくなるのは目に見えています。 また厚生労働省は、終末期医療でも75歳以上の患者には特別の診療報酬体系を持ち込むとしています。「過剰な延命治療を行わない」という誓約書をとったり、終末期の患者に在宅死を選択させ、退院した場合は病院への診療報酬を加算するなどの内容です。これでは患者の意思表示や治療中止の強制になりかねません。「患者の気持ちは変わる可能性があるのに、一度の説明で文章化したものが、治療中止の金科玉条として使われる危険がある。」と、厚生労働省の指針作成に参加した医師からさえ、批判の声が上がっています。 年をとれば、体力の低下とともに、病気にかかりやすくなり、回復にも時間がかかります。それをまるで悪いことのようなとらえ方をして、医療費を抑制しようというのです。現に、厚生労働省の担当者は「医療費が膨らんでいく痛みを高齢者自らが感じ取れるよう、応分の負担を求める」との発言までしています。高齢者は、病気がちで手間もお金もかかる、いずれ死が避けられない、とひとまとめにして別の保険に切り離すことになれば、結局必要な医療が受けられなくなります。 政府が、後期高齢者医療制度を導入した目的は医療費の削減です。2015年には3兆円の医療費削減を計画しており、その内高齢者分は2兆円。25年には8兆円削られるうち、高齢者分は、5兆円になります。この数字からも高齢者が狙い撃ちされているのは明らかであり、特に「団塊の世代」が後期高齢者となった時に国の財政負担が増えないよう、国民負担増と給付抑制の仕組みを作ろうというのが目的です。この制度は、今の高齢者は勿論、将来高齢者となるすべての国民から、医療を奪い取る大改悪です。 神戸市会からも、昨年の決算議会で「後期高齢者医療制度に関する意見書」が全会一致で決議され、提出されました。全国的にも、政令指定都市を含む530以上の自治体で、見直しを求める意見書が決議されています。この制度の問題点が明らかになるとともに、党派を超えて反対の声が大きく広がっているのです。 日本医師会からも、制度の全面的な見直しを求める見解が発表されるなど、医療関係者のなかでもこの声が多数となっています。 しかし、制度の実施を目前に控えたいまでも問題は解決されておらず、このままでは多くの高齢者から生きる権利さえ奪われかねない状況です。 人は誰でも年をとります。それを理由に元厚労省幹部やメディアから「姥捨て山」と呼ばれる制度を看過するわけにはいきません。 これまで、日本の復興と発展に尽くしてこられた高齢者が、安心して長生きを喜び合える社会とするためにも「後期高齢者医療制度」は廃止するべきです。 以上、議員の皆さんのご賛同をお願いいたしまして提案説明といたします。
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