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2005年1月

震災から10年 アンケートのまとめ
震災の教訓をこれからに生かしましょう

はじめに

 阪神淡路大震災から10年になります。昨年の新潟県中越地震の状況が、あの10年前と重なりました。そして、豪雨被害や台風による被害などなど、国内でも自然災害が相次ぎました。年末には、スマトラ沖地震とインド洋大津波による想像を絶する被害が発生し、自然災害の恐ろしさを、心底、痛感させられました。このような被害を、最小限に食い止める対策や被災後の生活再建対策などを策定することが、いま、緊急の課題ともなっています。
  私たち日本共産党議員団は、昨年末、被災10年を前にして、災害公営住宅、再開発、区画整理、市場・商店街を対象に、アンケートを行い、震災後の市民のみなさんの生活、営業、さらに、震災対策などに対するご意見をお聞きしました。全体で1365人の方から回答をいただきました。ご協力ありがとうございました。
  皆様からいただきたご意見は、すでに昨年末の決算議会で積極的に活用させていただきましたが、引き続き、市議会で取り上げるとともに、今後の復興対策に役立つよう、活用していく所存です。本「政調資料」は、このアンケート集計結果をまとめましたのでご覧ください。

被災者の暮らし復興に全力 党市会議員団の10年

 1995年1月17日午前5時46分。突然おそった大激震。多くの住宅がつぶれ、ビルも倒壊しました。高速道路が横倒しとなり、鉄道駅舎も港も壊れました。海を埋め立ててつくったポートアイランドは液状化現象で孤立。中央市民病院も機能しませんでした。
  被災者は、厳しい寒さの中での避難所生活、元住んでいた地域から遠く離れた仮設住宅での生活、さらに、住宅再建などでの二重ローン……。災害公営住宅も建設戸数が少なく、元住んでいた地域に住めない人も多くでました。新長田駅南の再開発事業は、10年も経っているにもかかわらず、事業は5割ほどの進捗率にとどまっています。
  日本共産党は、この10年間、被災者の生活再建に全力をあげてがんばってきました。国に対して「個人補償」をいっかんして求めるとともに、市長にも「政府に個人補償を求めるよう」迫りました。「空港より住宅を」、さらに「公的支援実現を求める市民投票運動」や署名など、被災者と力を合わせて運動。こうした運動と世論の盛り上がりの中、1998年5月、不十分ながら「被災者生活再建支援法」が成立しました。その後、住宅本体の再建には適用されないことなどの改善を求めて運動。2004年3月に見直され、支給金額の最高額が300万円に引き上げられるなど、一定の前進につながりました。また、災害援護資金の返済では、少額償還や返済期間の延長なども実現しました。この間、1998年10月の鳥取西部地震では住宅再建に、自治体による300万円の助成が行われました。また、2004年10月の新潟県中越地震などでは、個人の土地への仮設住宅建設が実現しています。
  他方、神戸市はどうだったでしょう。笹山市長(当時)は、震災直後の1月24日の記者会見で「空港は当然必要」(「読売」1995年1月25日付)と表明。震災前からの区画整理や再開発事業を復興と称して強行しました。個人補償についても、笹山市長は「財産をじゆうにできる財産権を、個人補償で壊すことは、政治体制を変えること」(「毎日」1995年12月27日付)と拒否しました。出発点から、神戸市の復興対策は、逆立ちした姿勢が際だっていました。このことが、いまの被災者の苦しみにつながっています。
  神戸市は、「総括・検証」「10年目、神戸からの発信」などと言いながら、10年を機会にほとんどの被災者対策を終わらせようとしています。しかし、市民生活が元に戻っていない現実を直視し、市民生活、中小企業の営業支援などは、強化する必要はあっても廃止するべきではありません。
  日本共産党議員団は、今後とも、被災者、市民のみなさんと力を合わせ、今後の自然災害では、真に被災者の生活再建、地域再建につながる対策の確立を求めて運動していく決意です。


災害公営住宅

アンケートの目的

  震災から10年という節目の年を前に、災害公営住宅入居者の現在の生活状況や家族構成、収入、生活不安、要求などを把握し、課題と解決方向を探ることを目的におこないました。災害公営住宅対象のアンケートは、被災5年を前にした1999年末と2002年末に続いて3回目となります。

配布対象と配布方法、回収方法

  市内の災害公営住宅を対象としました。全体が災害公営住宅となっている団地を対象に、各戸配布をおこない、郵送により回収しました。公団借り上げも対象としました。配布総数は約1万5000枚、回答数は991通。

分析の視点

  家族構成、毎月の収入額、おもな収入の種類、家賃滞納の経験の有無などから、災害公営住宅入居者の生活状況が、震災10年たって、どうなっているのかを検証しました。
  現在の暮らしについては、生活が安定しているかどうか、どのような不安や要望があるかを把握するために設問。行政の震災対策がどうだったか、何が必要だったかも聞きました。また、今後のくらしへの支援策、住民自治やコミュニティの向上に必要な課題を検討するため、自治会活動への参加状況についても聞きました。

アンケート結果から

1.総論

 多数を占める「年金でひとり暮らし高齢者」

 返送数は991通(12月15日現在)で、区別でみると別表の通りとなっています。家族の人数別では、ひとり暮らしが約半数以上を占めています。3人以上というのは12%にとどまっています。年代別では、65歳以上が46%にもなっています。
  毎月の収入額は、10万円未満が43%にも上ります。低所得者層が多いことがわかります。また、おもな収入については、年金が62%。生活保護は15%となっています。
  被災10年を経過した災害公営住宅入居者は、「わずかな年金で生活する、ひとり暮らしの高齢者」が多いことがわかります。
  家賃を滞納した経験のある世帯は17%。入居後10年間とされている家賃補助制度は82%が継続を望んでいます。また、政府や神戸市などの震災対策については、58%が「不十分」だったとしています。
  現在の暮らしについて「安定している」というのはわずか8%だけ。「不安」「どちらかといえば不安」を合わせると73%が不安をかかえています。その内容も、「収入」「家賃」「病気やけが」が高くなっています。毎日のくらしへの不安が浮き彫りになっています。自治会などの行事への参加では、61%の世帯が参加していません。公団借り上げ住宅などでは、自治会がつくられていないことも影響しています。高齢化が進むにつれて、コミュニティ形成の難しさが表われています。
  今の暮らしについての要望事項としては、日々の生活の不安や苦しさ、将来不安を反映して、「個人補償」(26%)よりも、目の前のくらしへの支援である「家賃や共益費補助」(51%)や、毎日の生活に必要な「バスなどの増便・新設」(31%)等となっています。
  これらからいえることは、年金、医療も含めた社会保障の充実、高齢者への訪問で、安否確認だけでなく、孤独感からの解放、閉じこもりにならないような施策、コミュニティづくり、自治会、老人会などの立ち上げ、暮らしやまちづくりに対応したバスなど交通機関の確保、身近な商店などの誘致が求められています。

災害公営住宅建設のミスマッチは明白

 被災したときに居住していた区と、現在住んでいる区の関連を見てみます。東灘区で被災した世帯の内、現在、東灘で暮らしている世帯は39%です。同様に、兵庫区で被災した世帯で、兵庫区内の災害公営住宅で生活しているのは35%。長田区も36%となっています。
  灘区(48%)、中央区(52%)は、HATこうべなど一定規模の災害公営住宅が建設されたため、高くなっています。これに対して、兵庫区や長田区は、災害公営住宅の建設が少なかったために、やむなく住み慣れた地域を離れて、他区の災害公営住宅に入居した、というのが実態です。これが、生活不安や要望にも反映しています。
  いわゆる建設地の「ミスマッチ」です。このため、従来のコミュニティも崩れました。仮設住宅も同じ傾向がありましたが、大規模災害時に教訓とすべき点です。新潟県中越地震では、地域のコミュニティを重視した仮設住宅建設や自宅用地での仮設住宅の建設が可能となるなど、この教訓がある程度いかされています。

2.収入から見た課題

43%が収入10万円未満

 収入面から、課題をみてみました。月額収入が「10万円未満」が43%にもなっています。15万円未満でみると66%にもなります。低所得世帯がいかに多いかがわかります。
  主な収入でみても、「年金」が62%を占めています。生活保護は15%にもなっています。震災前のおもな収入は、「年金」が35%、「生活保護」が8%でした(1999年の議員団アンケートから)。高齢化と重なり、生活は改善せず、より苦しくなっていることがわかります。
  毎月の収入が5万円未満という世帯のうち73%が一人暮らし。「5万円以上10万円未満」も68%が一人暮らし世帯となっています。逆に、20万円以上は夫婦世帯が50%と最も多くなっています。
  主な収入では、15万円未満の世帯では、生活保護が18%にもなっています。また、生活に不安をかかえている世帯は、低所得者層ほど高くなっています。小泉内閣による社会保障の連続改悪や、それに追随、あるいは先取りした神戸市政の福祉や市民サービス切り捨てによる将来不安が大きく影響しています。
  不安に感じていることも、収入で違いが出ています。15万円未満の世帯では、「収入に対する不安」が高くなっています。5万円未満の世帯では「家賃に対する不安」(33%)も高くなっています。収入が20万円以上の世帯でも「家賃が不安」(31%)だとしています。今も、ぎりぎりの生活になっていることがわかります。
  家賃滞納の経験についても、15万円未満の世帯の方が3ポイントほど高くなっています。

3.家族数からみた課題

ひとりぐらしが53%

  回答者では、1人暮らしが53%を占めていますが、一人暮らし世帯の収入は、10万円未満が57%を占めています。当然とはいえますが、家族数が増えるほど収入も多くなっています。3人以上の世帯では、給与などによる収入が56%あることからも、ある程度の収入が確保されています。
  しかし、それと生活が安定しているかは別問題のようです。「生活が安定しているか」との問いには3人以上の世帯では、「不安」が35%、「どちらかといえば不安」という世帯も45%と高くなっています。この実態を示すように、家賃を滞納した経験のあるのは、3人以上の家族が34%と一番高くなっています。人数が多いため、出費もかさむのが原因と思われます。震災対策が不充分だったという回答も73%で一番高くなっています。

4.家賃滞納経験の有無からみた課題

低所得、生活苦で、やむなく滞納

  これまで家賃を滞納した経験のある世帯は17%ですが、滞納したことのない世帯と比較し、家賃を滞納しないために、どのような対応策が必要かを探ってみました。
  滞納したことのある世帯では、政府や神戸市の震災対策について「不充分」という世帯が74%、滞納したことのない世帯よりも18ポイントも高くなっています。
  収入額でみると、滞納したことのある世帯の収入は「5万円以上10万円未満」が一番多くなっています。生活の苦しさがうかがえます。この苦しさを示すように、家賃補助制度についても、94%が「継続」を求めていることにも明確に出ています。
  また、現在の生活状況では、滞納したことのある世帯は、「不安」「どちらかといえば不安」を合わせると91%。不安の内容も「収入」(51%)、「借金」(44%)、「家賃」(36%)が、滞納したことのない世帯よりもかなり高くなっています。
  同時に、自治会活動への参加状況を見ると、滞納したことのある世帯よりも、滞納したことのない世帯の方が参加状況は15ポイント近く高くなっています。
  現在の暮らしでの要望という点についても、滞納経験のある世帯では、「個人補償」「家賃や共益費」が圧倒的に多くなっています。滞納経験のない世帯との対比が明確になっています。
  滞納を経験した世帯像としては、低所得でやむなく滞納し、借金もかかえ、地域との交流も少ないという姿が浮かびます。
  こうした点から、日々の生活に不安をかかえながら、懸命に生きているものの、やむなく滞納、という世帯が少なくないことがわかります。また、地域でのコミュニティが不足していることもうかがえます。

5.自治会などの行事への参加状況から

参加している世帯ほど「生活は安定」

  自治会の行事などへ参加しているかどうかという点から課題をみてみました。
  自治会の行事などに参加しているのは39%にとどまっています。高齢化が進んでいることも要因のひとつです。自由意見でも、高齢者が多く、役員の引き受け手が少ないことや、近所づきあいがほとんどないことなどの意見も書かれています。
  しかし、生活の安定度という点からみると、行事に参加している世帯では「安定している」は36%で、参加していない世帯(22%)より14ポイント高くなっています。参加していない世帯では、「不安」「どちらかというと不安」をあわせると72%と、「参加している」世帯(60%)よりも高くなっています。
  不安をかかえている問題についても、「参加していない」世帯の方が、「収入」で10ポイント、「家賃」で7ポイント高くなっています。「借金」でも「参加していない」世帯の方が高くなっています。
  また、要望事項でも「元住んでいた地域に戻りたい」とか「転居したい」という要望も、参加していない世帯の方が高くなっています。安定した生活を送るためにも、地域のコミュニティづくりの大切さを示しています。

災害公営住宅入居者に必要な施策

  • 全世帯を対象に面接による生活調査を行い、総合的な施策の検討
  • 家賃滞納をうまないためにも、福祉的視点での対応策の実施
  • 低所得者層への対策充実など社会保障制度の改善・充実
  • 家賃減額制度の適用期間の延長や減免制度の改善
  • 現住宅から、元住んでいた地域に転居したいという希望者には、住宅の住み替えができるような制度の創設
  • 閉じこもりにならないよう、見守り施策の改善や充実、地域コミュニティ確立への援助
  • 市職員、保健師、介護士や民生委員、ボランティアが連携して取り組めるよう、協議会などの設置
  • 職員OBなどによる巡回相談員の配置と専門相談窓口の設置
  • 介護施設や診療所の設置
  • 地域との交流を広げる取り組みへの支援
  • 便利なバス路線の新設などで外出する足の確保
  • 復興基金事業で行っていたような仕事づくり事業の実施

市場・商店街

配布先:東灘・甲南、灘・水道筋、中央・大安亭、兵庫・東山、須磨・板宿
配布総数:1100枚
回答数:114通

アンケートの目的

 震災によって大きな被害を受けた商店街を対象に、震災後の売り上げ状況などから、震災対策を総括・検証することを目的に行いました。

分析の視点

 売り上げが震災前とどうなったか、また、公的補償がない中、震災被害から立ち直るためにとった対策、借入先や返済の見通し、売り上げ減少の原因、また、店舗・事務所の再建に公的補償がなかったことなど、震災対策を検証しました。また、今後、地域づくりを進める上で、重要な役割を担う市場・商店街の振興策についても検討しました。

アンケート結果から

92%が震災前から営業

 市場商店街からは114通の回答が寄せられました。店の種類では、食料品店が31%、衣料品が17%などとなっています。やはり、市場・商店街では、市民の日常生活に直結した分野のお店が多くなっています。
  営業期間は、「震災前から」が92%となっており、ほとんどの人が地震前から営業しています。長い間、神戸市民のくらしに密着してきたことがよくわかります。しかし、売り上げは、震災前に比べて「増えた」という回答はゼロ。96%が「下がっている」と回答しています。売り上げがどの程度下がっているのかも聞いていますが、「4割以上減少した」というお店が33%にもなっています。
  売り上げが減少した原因としては、やはり「景気」が一番多く、68%を占めていますが、住民の減少」が44%あり、震災復興対策の影響も出ています。また、「大型店の進出」をあげたお店も39%ありました。
  営業を継続するためにとった対応として「蓄えを取り崩した」というお店が68%、「従業員を減らした」が28%、「新たな借り入れをした」も27%あります。震災後も必死で営業を続けてきた姿が浮かびます。
  借入先は、公的融資(34%)や銀行(20%)が多くを占めていますが、ノンバンク系というお店も3%あります。やりくりができなくなったすえのことなのでしょうか。店舗や事務所再建に対する公的支援があれば、こうした苦労はせずに済み、市場や商店街がもっと活性化していたことはあきらかです。
  このことは、借金の返済の目処についての回答に明確に出ています。「返済できる」としたのは30%にとどまっています。「返済の目処が立たない」というお店が27%。「将来不安だ」の40%を加えると、7割近くが、将来に不安をかかえながら営業を続けていることになります。
  「震災後必要だったこと」という問いに対しても、「人口の回復」が45%で、郊外に仮設住宅や復興住宅を建て、被害の大きかったインナー地域に、早く人を呼び戻すことをしなかった復興対策への批判が出ています。同時に、「店舗や事務所への公的補償」との回答が35%にのぼります。店舗や工場、事務所はその人の生活の土台であると同時に、地域経済の担い手である、という認識にたった復興対策が必要だったことが浮き彫りになっています。「大型店の規制」も30%となっています。大型店の出店は、売り上げ減少の要因ともなっており、今後とも、地域のまちづくりの観点からも、大型店の進出規制は真剣に検討されるべき課題だといえます。
  今後、商売を続ける上での不安は「健康」が50%でトップです。ついで「資金繰り」が42%。「大型店の出店や規制緩和」(26%)「後継者」(23%)と続いています。

今後必要な対策

  • 商店や事務所など営業再開に必要な施設再建にたいする公的助成
  • 「緊急災害復旧資金」の返済猶予期間の延長
  • 市場・商店街を、地域のまちづくりの拠点として位置づけ、バスなど公共交通機関の整備などで人の流れをつくること
  • 空き店舗の活用策を、地域住民も含めて検討すること
  • 全国の先進的な取り組みの紹介や交流が進むような対策
  • 低利の融資や後継者づくりにたいする支援策
  • 市場・商店街の振興策に対する独自の取り組みへの助成

区画整理事業

配布地域:東灘:森南、灘:六甲西、六甲北、兵庫:松本、長田・新長田北・御菅・鷹取第1・鷹取第2、須磨・鷹取第2
配布数:約1万枚
返送数:154通

アンケートの目的と分析の視点

 被災直後の3月17日に区画整理事業が強行決定されました。神戸市は火災や倒壊率が最もひどかった地域に区画整理事業の網かけを強行したのです。多くの被災者が避難所や親戚、友人宅に身を寄せている時期で、まちづくりについて住民が話し合いができる状況ではありませんでした。そんな困難な中にもかかわらず、3000人をこえる住民が都市計画審議会に「強行しないで」と意見書を出しましたが、住民の意見を全く審議しないまま、計画決定を強行したのです。兵庫県都市計画地方審議会の田中茂会長が「はっきりいって理解は得られていないと思う。だから都計審として可決する際に、『今後、住民と十分に話し合うことを約束してほしい』」と、異例の付帯条件をつけたのであります。
  今回のアンケートは、区画整理事業が震災復興事業として正しかったのか、復興のまちづくりという点で住民の意見が反映されたのかなどを調べることを目的にしました。区画整理事業については、99年末に続いて2回目となります。

アンケート結果から

35%の人が住まいを転々と

  地震後の住まいについては、「転々とした」という回答が35%にものぼっています。「地震前のまま」というのは17%です。被災者の多くが、いかに苦労したかがわかります。住んでいる住宅も「換地が決まって新築」というのは49%にとどまっています。震災前と同じ住宅で住んでいる世帯では、換地先は決まったものの、「資金がない」ことなどで移転できない世帯が27%あります。
  移転や新築についての要望では「固定資産税の減免」が37%でトップ。「低金利の融資」(19%)、「減歩の緩和」(15%)などとなっています。これは、事業が進んでいる地域と、遅れている地域との差があると思われます。
  区画整理事業に対する賛否では、「良かった」とする意見が34%あるものの、「反対」「意見があるが仕方がない」を合わせると、6割以上の人が、区画整理事業という手法に批判を持っていることがわかります。
  これは「良かった」という人の中でも、「個人の意見が反映された」という答えは4%にすぎません。「地域がまとまった」という回答も15%だけです。「反対」という方の理由は、「個人の意見が通らない」が24%、「地域がばらばらになった」という答えが18%もあります。この賛成、反対の意見に共通しているのは、地域住民の声が反映していない、住民合意の地域づくりにはつながっていない、ということです。
  現状についても、「順調」というのは18%だけ。いまなお「内容がよくわからない」という回答が22%もあります。「不満がある」も19%です。確かに、現状では「中止」を求める意見は2%と少数ですが、進め方、その手法についても大きな問題を抱えながら進んでいる、ということがよくわかります。
  日本共産党議員団は、震災直後から、再開発事業と共に区画整理事業という手法は、震災復興事業としてはふさわしくない、と指摘してきましたが、その指摘の通りになっているといわざるを得ません。

今後必要な対策

  • これから住宅の再建をする人も多く、固定資産税の減免を継続すること
  • 低金利の融資制度を続けること
  • これまでに住宅を建設し、融資を受けた住民には復興基金から利子補給の制度がありましたが、基金事業が10年終わると、これらの制度が受けられなくなります。基金事業同様の利子補給制度を実施すること
  • 新長田北地区など、遅れているところについては、住民の意見を聞き、遅れている原因をあきらかにして、住宅再建の対策をたてること

再開発事業

再開発(新長田と六甲道)の店舗と住宅入居者

 その地域に住んでいたいわゆる「権利者用」の住宅、賃貸住宅に住んでいた人への対応として建設された公営住宅、さらに分譲住宅、いわゆる保留床と呼ばれている住宅や店舗、公共施設などで構成されています。この地域を対象にアンケート用紙を配布、返送してもらいました。住宅は3200枚、店舗は700枚を配布。回答数は、住宅58通、店舗は48通となっています。

アンケートの目的

  震災直後の3月17日に、区画整理事業と同時にJR六甲道駅南・JR新長田駅南の地域が再開発の指定を受けました。
  この10年間で、六甲道(面積6ヘクタール・総事業費846億円)は、公園整備を残し2004年度中に14棟の住宅・店舗のビルが完成しました。ところが、新長田駅南(面積20.1ヘクタール・総事業費2710億円)は40棟近いビル計画のうち、18棟が完成(賃貸住宅763戸、分譲住宅800戸)、5棟が建設中で、進捗状況は5割にとどまっています。
  今回のアンケートは、震災復興としておこなわれた再開発事業が、そこに住んでいた住民および商店主にとって、真の復興となっているかどうかを検証しました。

分析の視点

 住宅と店舗の2通りのアンケートで、六甲道はほぼ完成、新長田は5割の状況で大きな違いがありますが、震災前から住んでいたか、震災後入居したのかをはじめ、生活の状況や営業の状況、再開発事業の賛否について検証しました。
  また、いったん入店しても、ビルが完成するにつれて、空き店舗が増えるという状況で、営業の再建とともに新たに入居してきた店舗についても、共益費や家賃等について質問しました。

アンケート結果から<住宅>

住民合意なしの事業推進にきびしい批判

  住宅については「自己所有」「市営住宅」がほぼ同率となっています。生活期間については、地震前からの世帯が60%、地震後40%となっており、震災後の新住民が多いことがわかります。しかし、特に長田区の人口は、震災前に回復しておらず、地域に戻れない被災者が多いことがわかります。
  再開発事業に対して「反対」は13%、「意見があるが仕方がない」が52%を占めています。「面積」については、「わからない」という回答が51%と半数を超えています。「事業のすすみ具合について」でも「よくわからない」は44%あります。自由意見の中で「市が進めている事業だから意見は言えない」という声も寄せられています。「わからない」という声は、面積も含めて事業内容が住民に知らされていないことを示しており、逆に、神戸市の進め方にたいする厳しい批判でもあるといえます。被災者が納得してこの事業を進めていないことを示しています。住民本位の震災復興策にはなっていないといわざるをえません。

アンケート結果から<商店>

震災前より「売り上げ下がった」は37%

  店の種類では「飲食店」が35%と一番多くなっています。これは、集客を期待して大型ビルにはいっているお店が多いことを反映していると思われます。
  店舗の形態では、自己所有が60%で「賃貸」が25%、仮設店舗がまだ13%もあり、これは、新長田駅南の事業の遅れを示しています。営業期間では、地震前から営業しているお店が71%と圧倒的多数です。
  売り上げは、震災前に比べて73%が「下がった」とこたえています。売り上げ減の原因としては、「住の民数」「景気」がともに5割を超えています。市場・商店街と共に、被災者をいち早く元の地域に戻す施策がなかったことが明確に示されています。
  営業を守るために、他の地域の商店と同様、「蓄えの取り崩し」が56%、「従業員を減らした」(25%)、「新たな借り入れ」(23%)と続いています。
  借入先は7割近くが公的融資ですが、返済の目処が立っているのは24%にすぎません。「将来不安」(40%)「目処は立たない」(12%)を合わせると52%が、不安をかかえながら営業を続けていることがわかります。
  こうした実情を反映して、地域の再開発に対して「良いと思う」はわずか15%だけ。いまなお「反対」が21%あります。「意見があるが仕方がない」は47%にもなっています。同じ再開発でも、住宅入居者より以上に、厳しい意見が出ています。面積も「広すぎる」という意見が46%です。共益費も「高すぎる」との声が62%にもなっています。
  再開発事業という手法が、震災復興対策になじまなかったこと、被災者の声にそって進められなかったこと、また、商店の現状など、どの視点から見ても問題が残っています。

今後必要な対策

  • 計画が具体化されていない地域については、権利者の意見を聞きながら再開発の網をはずし、早期に住宅・店舗の再建をおこなうこと。
  • 高層ビルの建設はやめ、低層にかえること
  • すでに完成したビルの空き店舗の活用策をつくること
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